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現在福井県内の郷土かるたは30~40組ほどありますが、そのうちの多くは勝山市の細野孝一氏によって制作されたかるたです。細野氏のかるたのいくつかは豆本にもなっています。
福井豆本第6号『越前勝山方言いろはかるた』(右)と同第7号『あかしもんいろはかるた』(左)(福井大学附属総合図書館蔵) 豆本とはきわめて小型の本のことで、欧米ではminiature bookなどと呼ばれています。サイズについて厳密な規定はありませんが、日本ではだいたい縦10㎝×横6㎝(A7判)以下のものを豆本ということが多いようです。日本では江戸時代に豆本が作られ始めますが、戦後、書物の少なかった時期に「ゑぞ・まめほん」シリーズが創刊され、これをきっかけに豆本ブームが興りました。その後に刊行された著名なシリーズ豆本として福井県の「えちぜん豆本」があります(注1)。先に紹介した「福井豆本」も、この「えちぜん豆本」の影響を受け、その後継シリーズとして創刊されたようです(注2)。 (注1)日本大百科全書「豆本」「日本の豆本」 (注2)福井豆本通信第1号「福井豆本創刊にあたって」 えちぜん豆本の書影の一部(福井県立図書館の展示パンフより) ちなみにルーペで拡大しないと読めないくらい小さな豆本は、特にmicro bookと呼ばれています。東京都文京区の印刷博物館には、0.75mm四方という世界最小サイズの豆本『四季の草花』が展示されています(平成25年3月現在)。私も実際に見てきましたが、さすがにこのサイズになるとルーペを通しても何が書かれているのかほとんど分かりません。でも、高度な印刷技術や、顕微鏡を覗きながら製本している様子には感動しました。このmicro bookはミュージアムショップで販売もされています。小型虫メガネと拡大版『四季の草花』(といっても小さな豆本サイズです。)とのセットで29,400円です。 西洋豆本には、A~Zの飾り文字や、それらを頭文字とする単語の絵をあしらったものもあります。ということは、いろはかるたも豆本と相性が良いのではないでしょうか。そこで越前若狭いろはかるたの豆本を作ってみました。(豆本づくりには、赤井都さんの『大人の趣味講座 そのまま豆本』(河出書房新社)を参考にしました。) 豆本版越前若狭いろはかるたの試作品。表紙には越前和紙を使い、上からニスを塗りました。 試作品第1号 普通紙にインクジェットプリンターで両面印刷してみました。どうしても裏表でズレが生じてしまいます。インクの滲みも気になります。 試作品第5号 レーザープリンターで片面印刷にしてみました。用紙はOA対応の越前和紙です。印刷は鮮明になりましたが、摩擦には弱いようです。 第1号と第5号の厚みの比較。後者は片面印刷の袋綴じなので、かなりのボリュームになりました。 実際に作ってみると、いろいろとこだわりたいところも出てきました。さらに改良を重ねていきたいと思っています。 今後は豆本版の読み札と解説、それらを収納する函(帙)なども作ってみようと考えています。ご意見・ご助言などお寄せいただけるとありがたいです。(メールはfukuibunka@gmail.com宛にお願いします。) この機会に見てまわりました豆本には、すばらしい芸術作品といえるものも多くありました。東京の西洋豆本の店リリパッドや呂古書房などで見た古い豆本には、長い年月にわたって読み込まれたような素敵な「味」がありました。 最後になりましたが、この記事を書くにあたり、お世話になった方々・施設に、厚く御礼申し上げます。 (K.H)
by fukuibunka
| 2013-05-06 21:56
| リレーコラム
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